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Netflix、アマプラ、時々映画館 チョコをおともに見た映画の感想をBitter&Sweetに書いています。

映画『”それ”がいる森』のそれとは何か?

相葉雅紀さん主演映画『”それ”がいる森』ブルーレイ見てみました。

”それ”がいる森 [DVD]

あらすじ

田舎で独り農業にいそしむ田中淳一のもとに、別れた妻の元で暮らしていた一人息子・一也が家出をしてきた。淳一は一也としばらくふたりで暮らすことになる。ちょうどそのころ、近くの森では不可解な事件が続いていた。淳一と一也も”それ”に遭遇してしまう。

作品データ/主要キャスト

相葉雅紀田中淳一

 ブラッドオレンジの栽培農家

・上原剣心/赤井一也

 淳一の息子

・江口のり子/赤井爽子

 淳一の元嫁で一也の母

松本穂香/北見絵里

 一也の担任

公開年:2022年/監督︰中田秀夫/脚本:中田秀夫 /配給︰松竹 

解説

福島に実在する怪奇現象が次々と起こる森を舞台に、”それ”と呼ばれる得体のしれない物がもたらすアクティブホラーエンターテインメント。監督はホラー界の巨匠・中田秀夫氏。主演は映画出演8年ぶり、ホラー初主演の相葉雅紀さん。脚本はキャスティングが決まった段階から当て書きされている。

 

*以下ネタバレしますので、未見の方はご注意ください。

『”それ”がいる森』感想

推しがホラー初出演?!

 本作は、ある森を舞台に怪奇現象が起こり、巻き込まれた大人子どもが被害に遭う事件が続出するホラー作品です。私は映画は好きですが、グロテスクなサスペンスやホラーの類は一番避けてみないようにしてきたジャンルなのです。
 でも、主演が好きな俳優さんとなれば見ないわけにいきません。そんなわけで、苦手克服キャンペーンと題して、今まで見てこなかった中田監督お得意のホラーも見て、アニメの進撃の巨人も見て、あらゆる苦手をつぶしていこうと挑戦。アニメの「進撃の巨人」や、中田監督の作品もくまなく見ました。公開当時初日舞台は初回だったのですが、朝から決死の覚悟をして劇場でも見ました。

 中田監督の作品が好きな方には想定外の”それ”方向だと思うのですが、私にとっては中田監督お得意のほうじゃなくてちょっと安堵しました(真夜中にトイレもいけなくなっちゃいそうだと思っていたので)。でも、だから平気だったわけじゃなくて、これでも十分怖いです。

”それ”とは何か?

それ…というのはUFOに乗ってやってくるあれです。私は会ったことはないけど飛んでいるUFOは見たことがあるので、存在として”それはいる”と思っています。
ただ、子どもを襲撃するとは思っていなかったので衝撃的でした。特に怖かったのは、子供部屋のガラス戸をトントンとノックし、女の子がガラス戸を開けた瞬間ぬっと手が出てきて頭をわしづかみにするシーン。初めて見た日は思わずこのシーンで「きゃー」と言ってしまったほどで、何度見てもなれませんし、今、思い出しただけでぞっとして恐怖が襲ってきます。

人の気持ちが交わる瞬間

 この映画「アクティブ」ホラーとか「ポジティブ」ホラーと呼ばれたりしています。その所以は、子どもを守るために果敢に立ち向かう大人の姿が描かれている、というのが一つ。そしてもう一つが、3年前に離婚をした淳一と爽子の元夫婦と一也との信頼回復パートにあります。

 怪奇現象に一也が巻き込まれたことによって淳一に父性が芽生え、3年間の空白と破綻していた信頼関係を取り戻すまでの軸。こちらは”それ”を見たという一也を信用して証明しようとし、それと対峙してもう絶対に息子を手放さないと奮闘する姿が印象的でした。

 一方、淳一と爽子は3年前爽子の父親の会社を手伝っていた淳一を父親が追い出したことから離婚してしまうんです。嫌いになったわけではなく、お互いに寂しかった心のすきまを埋めるかのように、息子がきっかけとなって少しずつまた距離を詰めるのです。その距離の詰まり方が言葉ではなくお互いの服装がリンクコーデになっていたりして、可愛らしいなとほっこりもするんですよね。

 映画館でも何度か見ましたが、それでもこの怖さにはなじめません。ただ、ホラーと家族ドラマのパートの緩急がとてつもなくうまく絡んでいて、ドキッとするしわーって言ってしまうくらい怖い!でも見たい、見たいけど怖いのは飛ばしたい、でも見たい💦…という両極端の気持ちがないまぜになり、つい見てしまう不思議。こんな映画は初めてです。

スーパーアイドルではない俳優相葉雅紀さん

 どうやら、この映画いわゆるサメ界と言われる界隈の方に評価が高かったようで、相葉雅紀さんへの賛辞も検索するまでもなく、よくTwitterで流れてきていました。わたしは、そういう界隈があることも初めて知りましたし、その界隈でホラーや相葉さんの演技が刺さっているということも結びつきませんでした。
 どちらかというと、相葉さんはその独特な声のトーンが演技を過小評価されているのを見かけることが多いというのが正直なところ。でも、それって結構見ている劇場の音響環境に左右されるところも大きいんですよね。現に、本作も映画館によっては少し上ずって滑りがちに見えたセリフ回しも、テレビの音響に落とし込むとまったく違ったトーンに聞こえる。なので、あまり声のトーンだけで演技の良し悪しを決められるものではないと思っています。
 むしろ私は、普通の人を「普通に」演じられる稀有な俳優さんだと信じているので、知らなかったジャンルの界隈の方たちに評価を受けていて、わかってくれる人はいるんだなとうれしくなったこともこの映画の思い出です。

従来の中田監督作品をイメージして、怖くて見られない!というファンの方も多かったようですが、怖いだけではないほっこりする終わり方をしているので、一度、騙されたと思ってみてみてはいかがでしょう?現在、アマゾンプライムをはじめ、各配信サイトで有料レンタル開始しています。

▶こんな人におすすめ

  ・ホラーが好き
  ・未知なるものに興味がある
  ・相葉雅紀さんのファンの方

★★★