映画『あと1センチの恋』12年、遠回りした二人の恋。

Twitterの映画チャレンジDAY４でも紹介した大好きな映画『あと1センチの恋』。久しぶりにアマプラで見ましたので、感想を残します。

あらすじ

ロージーとアレックスは6歳からの幼馴染。二人はよく見た夢の話をしていた。高校の卒業パーティーにロージーはクレッグと、アレックスはベサニーを誘って参加する。アレックスはハーバード、ロージーもボストン大学の合格通知を受け取った矢先、ロージーは妊娠が発覚。アレックスには秘密にしたまま、見送りに行く。

作品データ／主要キャスト

・リリーコリンズ／ロージー

　父のようにホテル経営をするのが夢。アレックスとは6歳から幼馴染

・サム・フランクリン／アレックス

　ロージーの親友で初恋の人。医者を目指してアメリカへ

・クリスチャン・クック／クレッグ

　ロージーの恋人

・ジェイミー・ウィンストン／ルビー

　ロージーが駆け込んだ薬局の店員、のちの親友

・スキ・ウォーターハウス／ベサニー

　アレックスの恋人

公開年：2014年／監督︰クリスティアン・ディッター／脚本：ジュリエット・トウィディ／配給︰ファントム・フィルム　

解説

　セシリア・アハーンの『愛は虹の向こうに』を基に、幼馴染のすれ違う恋を描いた純愛ラブコメディ。

＊以下ネタバレしますので、未見の方はご注意ください。

『あと1センチの恋』感想

この映画、初めて映画館で観たときはさほど刺さらなかったんですよね。去年、WOWOWオンデマンドで見つけたので久しぶりに見てみたら、案外好きだなと思ってしまって。時々リピするようになりました。

男女の友情は続くのか？

　もう10年ほど前の作品だそうですが、あんまり古く感じないのは、「男女の友情は成立するのか」の答えが永遠に出ないからなのか？　それとも、とってもかわいいロージーと素敵なアレックスの恋を何度でも見届けたいからなのか？…。

　そもそも、この映画ありえないところから始まっているんですよね。幼馴染って距離が近いから自分の気持ちに気づけなかった、好きだと思っていた人と結婚して見て初めて気づいた…とかならわかるんです。
　でも、明らかに幼い時からお互いに両想いで、一緒に遊びに出かけて記憶なくすほど女子が飲むとかありえない。それでファーストキスの記憶がない？もっとありえない。アレックスがほかの女子に卒業パーティー声かけるのも無理はない。

お陰で、そのたった一つのボタンのかけ違いに気づくまで12年。

　その後の人生で選ぶ女子の趣味の悪さ！ったらないが、ロージーだって誘われる前から調子が良かっただろうクズ男のクレッグなんかにつかまるんだから、アレックスには同情してしまう。

　クレッグを選んだ過ちから妊娠して夢が遠のくロージー。里を離れて一人夢を追うアレックス。すれ違う人生がここぞとうときに交錯して、そのたびにまたお互いの気持ちではない、いたずらで関係が途絶えて途絶えて。その時々のお互いのパートナーの意地悪がひどい。クズ男のクレッグは何が目当てで再び現れたのかもいまいちわからないけど、クズ度には輪がかかっていた。（そんなところで時間の経過を感じるという…）。

結末はHAPPY　

　紆余曲折ありすぎるほどあって、やっとロージーが夢をかなえた自分のホテルにすべて清算してきたアレックスが訪ねてきて、ようやくお互いに記憶の残るファーストキスをする！

　よかった！よかったけど、それからの二人がハッピーなのかどうかも見たすぎる。アレックスは結局医者になっているところがちゃんと見られていないから、そういうところも描いた続編が見たい。

ロージーの親友、ルビーって何者？

この映画、何があったかは想像してください！っていう、ちょいちょい不可解なところがあって、一番謎なのは、ルビーって調子いいよね？っていう…。ロージーが困ったときやアレックスに会いたいとき、クレッグをぶん殴りたいときにはすぐ現れてくれるけど、そもそも妊娠検査薬会に行った先にいたバイトのおばちゃんなはずで、それで人生にかかわって親友になったのはまだわかる。仕事まで一緒？いざって時には速攻車で駆けつけてくれて？ついていった先で旦那まで見つけるとか。いいキャラだよねぇ。気になるけど、深堀りするのはやめておこうっていうビジュアルだし、「なんかあったんだな」で済ませられる。

邦題がぴったりしっくりくる。

　邦題と作品の内容が合わないなと思うことが多々ある。邦題で気楽なラブコメだと思って選んでみて、重い選択を迫られる純愛だったりして、気持ちが余計にどんよりする。洋画の恋愛ものは、興行的にカップルの女性側にデートで観に行きたいと思わせる軽めのタイトルをつけているんだろうけれど、差がありすぎるとその作品の良し悪しとは別のもやもやが残る。なので、映画館で観に行くとき、本当にこの映画のタイトルのイメージと合う内容なのか疑問…と思って配信を待つこともある。（そしてだいたいが、待っていて正解なのだ）
　でも、この映画はめずらしくぴったりきました。タイトルのイメージと内容の差がないのは、見たかった作品に最短距離で出会えていいなと思う。そういう作品が今後も増えてほしい！