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Netflix、アマプラ、時々映画館 チョコをおともに見た映画の感想をBitter&Sweetに書いています。

映画『今夜、ロマンス劇場で』

 綾瀬はるかさん主演映画『今夜、ロマンス劇場で』大好きな映画です。久しぶりにアマプラで見ましたので感想を残します。

今夜、ロマンス劇場で

 

あらすじ

 映画監督を夢見る健司が秘かに想いを寄せるのは、通い詰める映画館ロマンス劇場が所蔵するモノクロフィルムの中のお姫様・美雪。ある夜、「明日そのフィルムを売る」と言われた健司の前に、奇跡が起きた。色のない美雪姫とカラフルな世界で二人の数奇な運命が動き出す。

作品データ/主要キャスト

綾瀬はるか/美雪

 映画の中のお転婆なお姫様。姫のままスクリーンを飛び出してくる。

 撮影所であった俊藤のことを自分と同じように出てきた人だと思っている。

・坂口健太郎/しもべ・牧野健司

 映画会社に勤める青年。忘れられた映画のお姫様・美雪を秘かに想う。 

・柄本/映画館ロマンス劇場の館主

 ロマンス劇場の館主。健司のよき理解者であり、夜な夜な

北村一輝/稀代の映画スター俊藤
 「ハンサムガイシリーズ」の主役、映画スター。美雪を心配する。

本田翼/映画会社の令嬢
 映画会社の令嬢で、社員からはあこがれの的。本人は健司を秘かに想っている。

加藤剛/現代の牧野健司

 病室が終の棲家。さぼりたい看護師にせがまれ、脚本の続きをしたためる。

石橋杏奈/現代の看護師

 健司の病室にさぼりに来る看護師。

公開年:2018年/監督︰竹内英樹/脚本:宇山佳佑/配給︰ワーナー・ブラザース映画

和製オードリー・ヘプバーン誕生。

 本作は、綾瀬はるかさんをお姫様に仕立てた映画を作りたい!という発想から本作の企画が始まっている。いうなれば、日本版『ローマの休日』の映画です。

 ただ、綾瀬はるかさん扮する映画の中のお姫様は、ひと時人を楽しませたあと廃盤となり、棚の奥でひっそりと忘れられていたフィルムの中の人。それを見つけて夜な夜な映写機でみてくれる健司は映画会社に勤める助監督。本作は、昭和中期の映画会社に勤める青年とお姫様との恋のお話です。

 昭和中期の映画撮影所、映画館、健司の家やデートをする街並みまで、舞台になる場所も衣装もメイクも小物もすべてクラシカルな世界観。お衣装は、先日ご紹介した『繕い裁つ人』、『ナラタージュ』なども手掛ける伊藤佐智子さん。レトロさと清楚さを兼ね備えた丸襟やふんわりしたスカート。どれも姫の可愛らしさを引き立たせるデザインにうっとりします。 

*以下ネタバレしますので、未見の方はご注意ください。

 

感想

 大好きな綾瀬はるかさんの主演作。本作は公開早々に映画館で2回、自宅ではもう数えられないほど見ています。

 モノクロの世界から飛び出した美雪姫が初めて見る色のある世界の鮮やかさを示すかのような、ポップな飴玉の色、淡い空にかかった虹色、かき氷、藤棚、さびれた電話ボックス、すべての色が彩り豊かな世界で、二人の切ないラブストーリーが紡がれて何度見ても同じようにその色に感動します。

 中でも、わたしの一番好きな色は、藤棚。映画館で観た時はその紫の色の鮮やかさに息をのみました。そして女子なら目が留まるだろう、飴玉のような鮮やかな赤の指輪も本当に素敵です。

映画の大半はこの色鮮やかな世界で話が進みますが、ところどころ、現代の色調になるところがあります。彩が明確に変わるのにもかかわらず、心が途切れる間もなく、エンドロールの最後まで徹底的にアンティークでクラシックな世界の中で、ピュアな恋愛の世界観を堪能させてくれる。タイムスリップの切り替えがうまいとしか言いようがない稀な作品です。

触れずに愛し続けることができるか?

 ただ、その色の世界が豊かであればあるほど、身分どころか生きる世界の違う二人の恋が本当に切ないんです。美雪はスクリーンからリアルの世界に出ていく代償に触れてしまうと消えてしまう約束が課せられていて、どれだけ愛している健司に触れることも、触れてもらうこともできない。しかも、健司はそのことをプロポーズして初めて知らされる。会社に行けば、自分を慕ってくれる社長令嬢がいて、しかもその子には触れることができる。仕事の面でも社長令嬢と付き合えば、自分の映画監督になる夢をかなえることもできる。健司は思わぬところで愛情の深さを問われるんです。

 その健司の思い悩む姿を目の当たりにして、元の世界に帰ろうとする美雪を劇場の館主は保護してくれるし、俊藤は下ばかり向いている健司に「男は常に前を向いて好きな女との未来を夢見ているものだ」と声をかけるんですよね。出始めはチャラい役だと思ってたけど、いい子という!! 
 最近の創作物ってすぐ触れ合うじゃないですか!実際問題、手を握ることすらできない恋愛は難しい。でも、例え、直接触れることはできなくても、歩幅が同じことだったり、手をつなぐ代わりのハンカチの揺れから相手を感じることはできる。”ただ隣にいてくれることの幸せ”を嘘くさく無く描けているのが、昭和の時代の奥ゆかしさでもあるというかね。

せめて触れることができたらという願いをかなえるまでのストーリーが本当に美しくてはかなくて、何度見ても幸せな気持ちに浸れます。私の中でディテールまでも鮮明に記憶している数少ない名作です。

よろしければ、今夜、WOWOWシネマで ぜひご視聴ください。

▶こんな人におすすめ

・アンティークな世界が好き
・いろんな映画のオマージュがみたい
・上質なラブストーリーが見たい

★★★★★