映画『耳をすませば』実写版を見てみた
大人気ジブリ作品『耳をすませば』の実写版。昨夜の日本アカデミー賞で主演女優賞を受賞されていたので、見てみることにしました。
あらすじ
本を読むことが好きな中学生の月島雫は、最悪な印象を抱いていた天沢聖司の夢を知り、徐々に惹かれていく。お互いに夢をかなえようと誓い合った二人。10年後、24歳になった雫は小説家になる夢がかなうどころか編集者としても作家の担当を外されてしまう。自分の気持ちを整理するため、聖司のいるイタリアへ会いに行く。
作品データ/主要キャスト
・清野菜名/月島雫
小説家志望の主人公
チェリスト、雫の恋人
・山田裕貴/杉村竜也
雫の同級生
・内田理央/原田夕子
雫の友達、杉村の婚約者
・安藤琉那/月島雫
雫の中学時代
・中川翼/天沢聖司
聖司の中学時代
公開年:2022年/監督︰平川雄一郎 /脚本:平川雄一郎 /配給︰ソニーピクチャーズエンタテイメント
解説
柊あおいの漫画『耳をすませば』をアニメ映画化したスタジオジブリ。そのアニメ映画の再現をした「あの頃」とオリジナルの「10年後」の二重構成で送るラブストーリー。新型コロナ感染拡大の影響により、海外での撮影は行わず、イタリアのシーンは和歌山のポルトヨーロッパ、そのほかについては神戸市内で撮影がされた。
*以下ネタバレしますので、未見の方はご注意ください。
感想
キャスティングがやっぱり残念
私はアニメ版の『耳をすませば』のファンです。アニメーションの実写化はもとのファンが相当数いて、それぞれにイメージが出来上がっているからキャスティング一つ難しいというのは理解できる。
現に、私もキャスティングの段階で「天沢聖司がどうして高橋一生じゃないんだ!」と思ってから、本作の公開情報は完全にシャットアウト。映画館にも行きませんでした。
偶然、好きな俳優さんが出ていたらしく、昨日のWOWOWオンエアが録画されていました。興味がわかないので消そうかと思ったけど、昨晩の主演女優賞受賞を受けてそんなにいいの?と見てみることに。
見てみて思ったけど、やっぱりキャスティングが全般的に微妙なんですよね。10年後だけを取り上げていたら要らなかった子供時代の雫と聖司役の二人も、その辺にいそうな、主人公のクラスメートその他大勢の一人でしかない。
聖司はひょっとしたら大きくなったら、松阪桃李さんのような顔立ちになっていたのかもしれないし、最大限寄り添ってくれていたと思うが、雫はもっと他に演技ができる人がいるだろうと感じる。挫折しそうになっているのに、感情がない棒読みはひどい。これで日本アカデミー賞で主演女優賞が取れたのかが、正直よくわからない。
アニメ版で十分完成しているのでむりに実写化しなくてもいい作品だと思うけど、大人になった二人を演じるキャスティング、個人的には、高橋一生さんと葵わかなさんがよかったんじゃないか?と思っている。
逆に良かったなぁと思うのは大河でも存在感のあった、松本まりかさん。彼女のセリフはアニメの本筋とは異なるところでの役柄。本を扱っているに映画のことなのか?とは思うが、何気にいいこと言っているし、彼女がいないと話がメルヘンで終わるところだった。
実写化で伝えたかったことは何?
ストーリーや演出でいうと、雫の先輩の名言と、街中で聖司役の松坂桃李さんが翼をくださいを弾くところはアレンジも含めてよかった。翼をくださいの合唱曲のイメージをいい意味で覆した。
漫画の実写化で成功している「ちはやふる」や「君に届け」などは、キャラクターをもっと丁寧に人に映しこんで、ミクロの単位でディテールにこだわった作りこまれた熱量が、撮影でもを生んで聴衆に感動を与えた。
本作は、もともと完成しているアニメの人気シーンをあくまで「再現」。テレビ番組などでもある再現VTR同様、似てもない演技力もない子役を使った昔と、まったくつながりようがない「今」を行ったり来たり。正直、小説家を目指しているはずの雫は、大人になってまでなぜ故鉛筆手書きでコンクールに作品を送っているのか?
時代が進んでいるはずなのに、世の中に即していない当時のスパイスだけをつまんでいるから、10年後を描いているのにリアルが感じられない。適当に切り貼りして「こういうのが好きなんでしょ」という間違った自己満足の2時間。
ただ、何がしたかったのか、何が伝えたかったのか?どこが日本アカデミー賞で評価されたのかも、正直さっぱりわからない。
そして分かっていたけれど、今一度強く思う。やっぱり私はアニメ版の『耳をすませば』が好きだ。
▶こんな人におすすめ
・キャストに推しがいる
・アニメ実写化が好き
・翼をくださいの曲が好き
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