映画レビュー『サムライマラソン』は走るコント時代劇
Netflixで2月24日で配信終了する『サムライマラソン』を見ました。
あらすじ
ペリーが来航したころ、安中藩板倉勝明は海外からの脅威に備えて藩士を鍛えるため、15里の遠足(とおあし)の開催を宣言。これを謀反の動きとみた江戸は藩取り潰しを狙う刺客を送り込もうとするが、代々幕府の隠密として仕えてきた甚内はその不穏な動きを察知し、阻止しようとしていた。
作品データ/主要キャスト
・佐藤健/唐沢甚内
安中藩士だが幕府隠密。この男の早とちりによって争いに転じる
・小松菜奈/雪姫
江戸にあこがれ、遠足を機に脱走を試みる藩の姫君
・森山未來/辻村平九郎
雪姫と結婚する野心を持った傲慢な男。
・長谷川博己/板倉勝明
安中藩主。どこか胡散臭い。藩士を鍛えるために唐突に遠足を開催。
・竹中直人/栗田又衛門
幼き子と雪姫とともに走る心優しいおじさん藩士
公開年/2019監督/バーナード・ローズ 脚本/バーナード・ローズ 配給︰ギャガ
解説
本作はペリー来航の時期同じくして初めて日本で開催されたマラソンの史実をベースにした時代劇小説の映画化です。主役は佐藤健。彼ひとりでも十分なのに、青木崇高、子関優太、染谷将太、奈緒さんなど、これでもか!と個性豊かな俳優陣がそろいにそろって脇を固められています。
海外の監督が細かいディテールにこだわって作り出す史実時代劇映画です。あまり難しい言葉は出てきませんので、初めて時代劇を見る方にも気楽に楽しめます。
*以下ネタバレしますので、未見の方はご注意ください。
『サムライマラソン』 感想
映画館で観て以来2度目です。当時は、映画館の予告が面白そうだったのと、佐藤健の新作だから見たので、時代劇でも難しい会話が少なくて見やすかったです。
史実ベースの完全コント!
本作は、史実をもとにされたフィクション時代劇です。ただ、
1.姫が江戸にあこがれて家出する
2.藩の取り潰しを狙う幕府との攻防(それを知った隠密が阻止)
という方向性の違う話がごっちゃになって、主軸はどれ?ってくらい内容がうっすい。
その上、その役になりきってさえいれば、「どんどんアドリブを入れちゃって!」という監督さんからの言いつけを守られている竹中直人さんが、生き生きとアドリブ三昧されている。いわば時代劇風コントです。
あと、言うなれば、虫映画です。終盤、死人を表現するために顔にカマキリが止まっていたりするのが、ドアップでうつっています。映画館で一番心が動いたのは、その虫のドアップです。死人を演じた小関裕太さんが瞬きしっかりされているので、死んでないじゃん?と突っ込みどころ満載だったりします。
小松奈菜がかわいい
でも小松菜奈ちゃんは可愛い。こういう芯があるおてんばな女子や時代劇がよく似合うと思うから、よく現代劇のよくわからない群像劇とか、ラブコメとか悲恋の作品のヒロインにされているけれども、そんなものに消費されないことを願う。
Netflixで見られるのは2月24日まで。よかったらどうぞ。
安中遠足侍マラソン大会
この映画の終盤、メインキャストの遠足に、現代のマラソンシーンが被るところがあります。この史実に基づき、安中市ではまじめに楽しくマラソン大会を現在も実施されているんです!思い思いの服装で仮装をして参加することもできて、審査員さんがコース上で仮想大賞の審査もしてくれるそうですよ。
今年の大会よかったらエントリーされてみては?
▶こんな人におすすめ
・マラソンにハマっている
・竹中直人さんが好き
・時代劇を見るとっかかりがほしい
★★★