映画『ラーゲリより愛を込めて』は実話です。
あらすじ
1945年、第二次世界大戦後…。中国からの引揚げが叶わず、シベリアの収容所へに抑留させられた日本人兵士たち。いかなる状況下でも帰還することを希望にもち、生きることをやめなかった実在の兵士、山本幡男さんの物語。
作品データ
制作年:2022年
監督︰瀬々敬久
脚本:林民夫
配給︰東宝
主演︰二宮和也
実話です
この作品は実話をもとにした小説を映画化したものです。満州に従軍していた山本幡男さんがシベリアに無実の罪で抑留された日々を描いていますが、本作に出てくるクロという犬も実在していました。
正直見るの迷いました。それでも見た理由
正直言うと、戦争映画自体が苦手で、映画館で観なくてもいいかなぁと思っていたのです。でも、ムビチケについてくる今治タオルほしくなっちゃった…という不純な理由でムビチケ買ってしまったので、満員御礼舞台挨拶の回を観に行きました。
舞台挨拶が…。
でも、残念なことが、この舞台挨拶回に行ったことで、二つも起こってしまったんです。
ひとつは、主題歌の担当の人が来て、空気読めなさ過ぎたこと。上映前のあいさつなのでネタバレはしない方向でお話をするのが普通だと思うのですが、よりによって、作品の胆になっている”部分を、さらっと「タイトルが映画の胆だ」と言ってしまったんですよね。
それでもう、楽しみは半減どころか結末が想像できてしまって、観ることが経過の確認作業でしかなくなってしまったのです。原作があっても、映画作品上の展開は別パターンもあり得ることを考えると、伏せておくべきだよねっていうところ。しかも、依頼があったのにも関わらず、映画を観ずに曲を作ったけど案外いいのができた。タイトルだけ合わせたようなこともお話しされていて、重ねて残念な人だなと。
もうひとつは、恐らくはその彼を見るのが目当てで来た人たちが、映画本編が始まると同時に一人や二人ではなくてざっと10人以上帰ってしまったこと。推しを見れば推してる側も納得という感じもしますが、当日は舞台挨拶。満員御礼でした。その席で作品を観たかった人がいることにも思い至れない人たちが多いことに不快感をもったまま映画が始まりました。
さすが!第64回日本アカデミー賞俳優
丸坊主・丸メガネ・軍人をやってるジャニーズ
この人のほかにいないと思うくらい、ちょいちょい役として兵役している二宮和也さんの演技。軍人役をやるたびに、現生活のどこでつかえるのか?っていう戦時中の会話をイタリア語、英語、そしてこの作品ではロシア語を操る。
もちろん、ビジュアル「ニノ」ではある。坊主に軍服たまに丸メガネと、キーパーツは似たり寄ったり。なのに全部別人にちゃんと見える。そのいずれもで、「その人」を生ききっている。幸せな役より、ちょっと不幸のどん底を這って光を見つけるみたいなのが、本当にうまい。
病床の涙
特に私が好きだったのは、病床での涙、筆を家族にあててはしらせるその姿。こういう作品は何度も見返して史実を忘れないための作品だと思うけれど、逆にもう見たくない!と思う程につらい。
ビジュアルで損してる俳優さんたち
本作はすごくいいお話です。でも泣けなかった。それはやっぱりちょっとそぐわないなと思う違和感をぬぐえないからで。
北川景子さん
映画出演、すごく楽しみにしていたんですよね!演技力あるし、茶目っ気もあって、きっと難役でも期待できるなぁと。
でも、戦中・戦後通してずっとメイクが現代的なつやつやピカピカ。そんな美人この当時にいないでしょう?というそもそものお顔には、むしろ当時のマットで少し疲れの見える風のメイクを施したほうが、時代的な説得力が出るのに。天真爛漫な笑顔さえ、嘘くさくなってしまって残念でした。
たまに、若いお嬢さん役ならまだしも、時代背景とか年齢とか関係なく、年を重ねていても、しわ一つない女優さんの自分のままを役でやりたがる人っていますよね。自分の顔だけ見てほしいんだなと思ってしまうところがあって、本当に残念です。
安田顕さん
役づくりで眉毛をそったらしいんです。流れ的にシーンとしてあるならわかる(むしろそういうシーンがあってもおかしくはない中身がある)。けど、最初から眉毛中途半端になくて、気になって気になって。演技はいいはずなのに、どこに存在していても癖のあるおじさんでしかなかった。
それでも見てよかった!
気になるところがいっぱいあって、かつ見る前のネタバレ的なことも含めて、ちょっと映画としての評価は、わたしは低めです。それでも観てよかったって思います。
それは、やっぱり戦争はしちゃいけないって確認ができたから。身内に戦争に行っていない人が増えてきて、(体験する必要はないけれど)知っておくことが戦争をしない抑止力になると思うからです。
まだ上映中です。もし、時間が合うなら、ぜひ観に行ってみてください。もちろん、配信を待って見てもいいと思います。
★★★
▶こういう人におすすめ
・親子、祖父母×孫で鑑賞
・史実を知りたい、調べたい
・骨のある日本映画が好き